今井恵みの里で広がる、大地と人をつなぐブリコラージュ

山ノ縁のブランドコンセプトから、「ご縁」や「発見」をお届けするこの連載。
第一回は、松本市今井地区にある「今井恵みの里」を訪ねました。
地元農産物を活かした多彩な加工品や、ここでしか味わえないスイーツを生み出す職人たち。
そこには、山ノ縁のエナジーバー誕生にもつながる“ご縁”と、ブリコラージュの精神が息づいていました。

地域と農家をつなぐ、今井恵みの里

松本市今井地区にある「今井恵みの里」は、道の駅として誕生し、直売所や地元農産物を使った料理やソバ打ち見学ができる食堂施設、そして農産物加工所を併設した地域拠点です。ここに関わる農家はなんと500〜600軒。「大地の恵みを活かしきる」という理念を掲げ、農業の6次産業化を推進し、農家が農業で生計を立てられる仕組みをつくっています。
 
農産物加工所は、旬の素材を無駄なく生かし、地域資源の価値を最大化しています。
形や大きさが規格外の農産物や、売り場に出せない余剰分を、加工によって価値に変える。
廃棄されていた素材が、新たな商品として再び消費者のもとへ。
「捨てずに、価値に変える」
ここに、山ノ縁が大切にしている「ブリコラージュの精神」が重なります。

加工所の中で生まれる200種類以上のレシピ

加工所の扉を開けると、漂う甘い香り。

ここでは、ジュースやジャムをはじめ、ドレッシング、寒天ゼリー、ドライフルーツなど200〜300種類のレシピが日々生まれています。
季節ごとに違う素材と向き合いながら、毎回レシピを工夫する――。
「同じ農家さんの同じりんごでも、年ごとに味が変わる」
だからこそ、加工現場の職人技と柔軟な対応が必要です。
 
この“素材との一期一会”が、今井恵みの里の商品を唯一無二にしています。

農産物加工所の事業は主に3つ。

① 受託加工事業

農家さんが持ち込む原料を預かり、オリジナル商品として加工。
ジャム、ジュース、ドレッシング、寒天ゼリーなど。レシピはなんと200〜300種類。
「自分の農園のりんごで、オリジナルのアップルジャムを作りたい」
「ブランド化したいから、パッケージも一緒に」
そんな声に応える、“農家ブランドの後押し役”です。
個人からの依頼にも対応しており、ここから多くの“新しい商品”が生まれています。

② 業務用一次加工

もう一つの役割は、生産者から規格外の農産物を適正価格で買い取り、ニーズが高い地場産原材料を製造。農業の持続性を高める、重要な仕組みです。

③ 冷凍食品製造

高性能3Dフリーザーで旬の農産物を急速冷凍し、採れたての鮮度と味わいをそのまま閉じ込めます。
冷凍スイカや冷凍りんごなどの加工を経て、いま定番になったのが「もぎっと!キュン」
旬の果物を使った、見た目にもかわいい冷凍スイーツです。

ご縁が生んだスイーツ部門とパティシエ小澤さん

そんな加工所に新たな風を吹き込んだのが、パティシエの小澤さんです。
犬飼さんがたまたま知人から小澤さんの話を聞いたことがきっかけで、スタッフに。
立ち上げ当初から「スイーツをやりたい」という想いはあったものの、販売環境やブランディングの課題などから実現できていませんでした。そこに小澤さんが加わり、念願のスイーツ開発が本格的に始動。
 
最初の挑戦は、「季節のアップルパイ」。
ただのアップルパイではありません。
特徴は、品種ごとの個性を活かすこと。
酸味のきいた紅玉、蜜たっぷりのサンふじ――
 

「この子は酸味が強いから、しっかり酸味を際立たせてあげよう」

「この子は甘味が控えめで香りが強いから、それを生かそう」

素材を“この子”と呼ぶ小澤さんの言葉に、愛情を感じます。
りんごをはじめ、素材一つひとつの“個性”を引き出しながら、四季折々の味を表現しています。
 
販売日は月に一度、3種類のアップルパイが並び、ファンが食べ比べを楽しみに訪れます。
「訪れたお客さんが『この前の美味しかったよ』『今回も楽しみにしてた!』と直接声が聴けて、喜んでもらっているのが自分のやりがいに繋がっています。また、規格外品を使うことで、農家さんにも喜んでもらえる。みんなが幸せになっているのかなと思います」と話してくれました。
 
「今井恵みの里 道の駅に来れば、リンゴとアップルパイが楽しめる!というイメージづけをしたいので、リンゴのない時期はアーモンドやキャラメルなど他のフレーバーを組み合わせて、季節のアップルパイの販売は通年で行っています。ゆくゆくは店頭で常設販売したいですね。」と小澤さんは続けて語ります。
 
現在は、地域の農産物を使った「生アップルパイ」や、「今井といえば」をコンセプトに、今井産のリンゴとヘーゼルナッツを使った「リンゴとヘーゼルナッツのタルト」、常温で持ち帰れるお土産として「リンゴのパウンドケーキ」など、スイーツの幅を広げています。
「道の駅に置くなら、地元の食材を使って、自分たちが作ったものを届けたい」という小澤さんのこだわりは、どの商品にも宿っています。

「山ノ縁」との出会い、そしてブリコラージュの価値

小澤さんは、山ノ縁のエナジーバー開発にも携わりました。
「ここまでコンセプトが詰まった商品は初めてでした」
そう語る小澤さん。
りんごや米粉、飛騨山椒、米飴といった地域食材をブリコラージュの発想で組み合わせ、唯一無二の登山食を完成させました。
 
山ノ縁と今井恵みの里。
どちらにも共通するのは、“今あるものを大切にしながら、新しい価値を生み出す”という考え方。
農産物を捨てずに加工し、ジュースやドレッシング、スイーツに変える。
山で得られる恵みを、スパイスや米粉と組み合わせて新しい味にする。
その背景にあるのは、「ご縁」と「工夫」
まさに、ブリコラージュの力です。
 

さいごに

今井恵みの里は、農家と消費者をつなぎ、地域の恵みを丸ごと生かす拠点です。
加工所の中では、今日も素材と向き合いながら、職人たちが“おいしい循環”を紡いでいます。
松本を訪れる際は、ぜひ立ち寄って、その味と想いを体感してみてください。

▶ 今井恵みの里 公式サイトはこちら

山ノ縁のエナジーバーにも、このご縁と発想が息づいています。
登山やアウトドアのお供に、ぜひ。